ホットホットドリンク
case.Hot chocolate
濡れた髪をタオルで拭きながら真由は脱衣所を出た。

リビングからスマホの着信音が響いている。

テーブルに置いてあったスマホを取り上げて表示を見ると、歳の離れた従姉妹からだった。

「もしもし?」

『まゆちゃーん? 母さんがさー、近いうちに顔見せてってさー。もうすぐまゆちゃんの誕生日だからー』

「凛。普通は名乗るもんよ」

『表示でわかるじゃーん。家電でもあるまいしー』

「あたしはあんたが心配だわ」

『さんきゅー』

「礼を言うとこじゃないわよ」

『んじゃねー』

「凛?」

通話が切れた。

真由はため息をついてスマホを放る。
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