ホットホットドリンク
先生はいつもコーヒーを飲んでいる。

ひまりの家に来る前に自販機で買ってきているらしい。

ひまりの部屋でパキッと音をたてて蓋を開けて、冷める前に飲み切っている。

開けた瞬間の缶からは、苦いコーヒーの匂いが漂っていて、それは先生にも移っている。

ひまりにとってコーヒーの匂いは先生の匂いとイコールだ。

先生とキスをしたら、やっぱりコーヒーの匂いがするのかな、いつか知りたいな、なんて妄想をしていたら、いつの間にか問題が解けていた。

「先生、解けた」

「見せてみ」

右手でコーヒーの缶を持って、左手でテキストを引き寄せた。

ひまりは机に頬杖をついて、チェック中の先生を眺める。
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