溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
戸惑う私に意味深な視線を向けてくる穂積課長は、真剣な表情をしている。
また見透かされてしまうのが嫌なのに、課長の瞳から目が離せなくて、上手く視線を逸らすことができない。


それでも、なんとかして少しだけでも平常心を取り戻したくて。
穂積課長の視線から逃れるためにも食事に集中することにすれば、課長の方からもスプーンとお皿が触れる音が鳴り始めてホッとした。

だって、このままだと精神的に持たない。


穂積課長の意図はまったく理解できないけれど、課長の提案が冗談じゃないことだけはわかる。
ただ、どうして私なんかと付き合おうとしているのかがわからなくて、理解に苦しんだ。


しっかりと平常心になれるまでは逃げていたかったけれど、きっとどれだけ経っても落ち着けないだろう。


「あの、課長……」

「ん? なんだ?」


そう予想して、スープを食べた終えたところで意を決して控えめに切り出してみれば、真っ直ぐな双眸が私を捕らえた。

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