溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「課長の提案が冗談じゃないことは、ちゃんとわかりました」

「そうか」

「でも、どうして私なんかと付き合おうなんて考えたんですか?」


満足そうになった顔の眉間に皺が寄り、穂積課長が椅子に背を預けたまま腕組みをした。

「私なんか、ってどういう意味だ?」

課長だって仕事中に難しい顔をしていることはもちろんあるけれど、穏やかさの消えたこういう表情はあまり見慣れていない上に少し低くなった声音に怯みそうになって、続く言葉を飲み込んでしまいそう。


「不躾ですけど……課長なら恋愛に不自由しませんよね? 私、特に秀でた容姿とか才能があるわけじゃないですし、課長のファンの人たちの中には綺麗な人だっています。お互いに恋愛感情はないんですから、なにもわざわざ私なんか選ばなくたっていいと思うんです……」


それでも、なんとか勇気を出して必死に思っていることを言葉にしたものの、なんだか卑屈な言い訳を並べているようで虚しくなった。

だけど、ちゃんと話さなければいけないから。

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