溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「あの、課長……」

「ん?」


穂積課長が、優しい表情だから。
私のことを、真っ直ぐに見つめてくれているから。


「どうして……私だったんですか?」


私は、ずっと抱いていた疑問を口にしていた。


「私は別に、美人でも仕事ができるわけでもないですし、課長みたいな人と釣り合うとも思っていません。 課長なら女性に困るようなこともないでしょうから、余計に私を選んでくださった理由がわからないんです」


〝選ぶ〟という表現が適切なのかは、よくわからない。
ただ、課長の提案でこうなったのは事実だから、今はそう言うのがいいと思えた。


「……なるほど。それが急に暗い顔になった理由か」

「ずっと考えていたんです……」


納得の表情で微笑む穂積課長に、小さく頷く。
店内の喧騒のおかげか、それとも課長が優しい面持ちだからか、空気が緊迫していないことですぐに続きを声にできた。


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