溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「せっかく少しのんびり仕事ができそうだったところ申し訳ないけど、しばらくは忙しくなると思うから、みんなでしっかり頑張ろう」


穂積課長の一声で覇気に包まれた部署内では「はい」という返事が揃い、みんなはそれぞれの仕事を再開した。
そのままデスクに戻った課長に、部長が「さすがだなぁ」と満面の笑みで労っている。


契約を取ってきたのは穂積課長だけれど、これが上手くいけば営業部や部長の評価も上がるのは間違いないし、部長が上機嫌なのも大きく頷ける。


「恐れ入ります」

「いやぁ、これは早々に穂積くんに美味いものでもご馳走しないといけないかな」

「いえ、そういったお気遣いはお気持ちだけで充分です。こうして成果に繋げることができたのは私ひとりの力ではありませんし、頑張っているのはみんな同じですから」


だけど、穂積課長はそれを鼻にかけたりするどころか、謙虚な姿勢を崩さない。
プライベートでの課長とは全然違うけれど、穏やかな面持ちで当たり前のように答えたところを見ると、その言葉は本心なのだと思った。

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