溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

「課長も課長で、絶対に自分の成果を鼻にかけたりしないし、誰にでも分け隔てなく優しい。ああいう人のもとで働けてよかったって、心底思うよ」


私も、そう思う。
プライベートでのことはさておき、穂積課長に流されるがまま付き合うことになってしまった今も、課長への尊敬の念は変わらない。


「そうだね」


だから、言葉で明確に共感しつつ微笑めば、満面の笑顔の二宮くんも相槌を打った。


「でもさ、課長ってどうすればあんなに契約が取れるんだろう。すごく穏やかな顔しか知らないけど、実は強引なタイプとか？」

「えっ？」


不意に神妙な顔つきで声をひそめた彼に、思わず視線を彷徨わせてしまった。
小首を傾げている姿からは純粋に疑問を感じているのが見て取れるのに、偶然とはいえ穂積課長の素顔を言い当てられたことに動揺が表情に出そうだった。


「……課長に限って、それはないか。あの癒し系の穂積課長だもんね」


自己完結してくれた二宮くんにホッとしつつ、「そろそろ仕事に戻らなきゃね」と苦笑すれば、彼は小さく頷いてデスクに戻っていった。