溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「私、薬はより効果が高いものが選ばれるのだとばかり思っていました」


プロジェクターを片付けながら小さなため息を零すと、穂積課長は長机に広げていた資料を纏めながら頷いた。


「それは間違いじゃない。実際、効果が出なければ医者も病院も使おうとは思わないのも事実だよ」

「でも、そうじゃない場合もあるんだって、営業部に来てから知りました」

「まぁ、ここは数字がよくわかるからね」


ハニカム構造のブラインドを下げると、太陽の光が遮断された。
電気は点いているのに暗い雰囲気になって、課長の表情まで曇ったように見えてしまう。


「でも、僕たちの仕事は自社製品の良さを伝えていくことだ」


ただ、それは私の気のせいだったようで、穂積課長の顔つきはとても前向きなものだった。
微笑む課長が、続けて開口する。


「本当にいいものの良さは、必ずわかってくれる人がいる。まずは使ってもらうことが、それを知ってもらうための第一歩だ」


そして、真っ直ぐな瞳を向けられた。

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