溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「だから、結果的にどうなるとしても、まずは知ってもらうことが大切なんだ」
「そうですよね」
話している間に片付けは終わり、穂積課長が使っていた長机も綺麗になっていた。
課長から「行こうか」と声を掛けられて、微笑みを浮かべて頷いたけれど……。ドアに向かう背中を見つめながら、この十分ほどの間ずっとあくまで上司として接してこられていることに、ほんの少しだけ寂しさに似たような感覚を抱いていることに気づく。
わかっている。
私たちは会社ではただの上司と部下だ、ということは。
以前にそう言われているし、それが当たり前だとも思っている。
それでも、〝僕〟という一人称にも、〝青山さん〟という呼び方にも、なんだか寂しさを感じてしまっていた。
前にいる穂積課長が、ドアノブに手を掛ける。
ふたりきりの時間が終わってしまう、なんて考えてついため息を落としそうになった時、不意にその手を止めた課長がゆっくりと振り返った。
「そうですよね」
話している間に片付けは終わり、穂積課長が使っていた長机も綺麗になっていた。
課長から「行こうか」と声を掛けられて、微笑みを浮かべて頷いたけれど……。ドアに向かう背中を見つめながら、この十分ほどの間ずっとあくまで上司として接してこられていることに、ほんの少しだけ寂しさに似たような感覚を抱いていることに気づく。
わかっている。
私たちは会社ではただの上司と部下だ、ということは。
以前にそう言われているし、それが当たり前だとも思っている。
それでも、〝僕〟という一人称にも、〝青山さん〟という呼び方にも、なんだか寂しさを感じてしまっていた。
前にいる穂積課長が、ドアノブに手を掛ける。
ふたりきりの時間が終わってしまう、なんて考えてついため息を落としそうになった時、不意にその手を止めた課長がゆっくりと振り返った。