溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「こら」
グッと、一秒ほどで詰められた距離。
穂積課長の顔がすぐ近くにあることに気づいた時、体温が急激に上がったような気がした。
戸惑いがちに視線を上げれば、柔らかな雰囲気を隠した瞳を緩められる。
そのまま、課長が私の耳元に唇を寄せた。
「そんな顔するなよ」
え……と発したはずだった声はちゃんとした音にはならなくて、代わりに大きく跳ね上がった心臓がバクバクと脈打ち始める。
仕事モードだった端正な顔が職場では見せられることのなかったものに変わっていることに気づいた時、吐息が触れるほどの距離でクスリと笑いが漏らされた。
「寂しい、って顔してる。ただの上司と部下の関係じゃ不満なのか?」
「……っ!」
違うということを言葉にしたいのに、それが嘘になることはわかっていて、さらには穂積課長には見透かされてしまうことも予感できる。
数秒でそこまで考え至った私は、顔を覗き込んできた課長の視線から逃れるように顔を僅かに逸らせることしかできない。
グッと、一秒ほどで詰められた距離。
穂積課長の顔がすぐ近くにあることに気づいた時、体温が急激に上がったような気がした。
戸惑いがちに視線を上げれば、柔らかな雰囲気を隠した瞳を緩められる。
そのまま、課長が私の耳元に唇を寄せた。
「そんな顔するなよ」
え……と発したはずだった声はちゃんとした音にはならなくて、代わりに大きく跳ね上がった心臓がバクバクと脈打ち始める。
仕事モードだった端正な顔が職場では見せられることのなかったものに変わっていることに気づいた時、吐息が触れるほどの距離でクスリと笑いが漏らされた。
「寂しい、って顔してる。ただの上司と部下の関係じゃ不満なのか?」
「……っ!」
違うということを言葉にしたいのに、それが嘘になることはわかっていて、さらには穂積課長には見透かされてしまうことも予感できる。
数秒でそこまで考え至った私は、顔を覗き込んできた課長の視線から逃れるように顔を僅かに逸らせることしかできない。