溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
からかわれていることは理解しているのに、この時間にドキドキする胸は甘く締めつけられ、抱いていたはずの寂しさが小さくなっている。
単純な自分自身に呆れそうになりながらも、このままもう少しだけ一緒にいられないかと考えてしまう。


「わかりやすいな」


フッと笑った顔は楽しげで、穂積課長は相変わらず余裕を見せてくる。
私だけが振り回されているのだと思うと悔しくもあるのに、私だけに向けてくれる素顔に喜びを抱いている。


「からかわないでください……」

「別にからかっているわけじゃない」

「そんなの嘘です……。課長は余裕そうに楽しんでいるじゃないですか」

「ばか」


途端に困り顔になった課長は、苦笑を零した。
どこか複雑そうな面持ちの理由もやっぱりわからなくて、自然と首を傾げそうになってしまう。


「だから、可愛いって言ったんだよ」


程なくして、穂積課長はそんな私の耳元に唇を寄せると、〝課長〟とは違う優しい声音で鼓膜を甘くくすぐるように囁いた。

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