溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

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バタバタと慌ただしい雰囲気の中、窓の向こうが少しずつオレンジ色に染まっていく。
時刻は十七時を回ったところで、午後から取り掛かっていた作業がようやく一段落しそうだった。


従業員七百人ほどの製薬会社、『株式会社ネオサーチ』。
設立三十年ほどの会社で製薬会社の中ではまだ歴史は浅いけれど、東京の本社を始め、大阪と福岡に支社があり、その他にも営業所や研究所がある。


その東京本社の営業部で営業事務として働いている私は、今年で入社五年目になる。
数学は苦手で数字も好きではないし、希望していた一般事務でもないけれど、営業部はみんな親切で仕事は意外と楽しい。


「青山さん」

「はい」


山積みだった伝票整理がようやく終わった直後、穂積課長がニコニコと笑いながら資料らしきものを左手で持って私に見せた。


「悪いんだけど、この発注書も頼める?」

「わかりました」


あと少しでパソコンの前から解放されると思ったけれど、課長のデスクまで行って受け取った資料によってそれは叶わなくなり、残業が決定したことを悟る。

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