溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
Pledge 6 「溺れろよ、俺に」
【金曜、空けておいて】
穂積課長からトークアプリでそんなメッセージが届いたのは、それから二週間ほどが経った十月末の水曜日の夜のこと。
あんな思わせ振りなことをしておいて、花の金曜日の夜のスケジュールをそんな文言だけで取りつけられると思うなんて! と心の中では可愛げのない独り言を零しながらも、手帳にちゃっかり予定を書き込むあたりが単純なのかもしれない。
「莉緒、今晩飲みに行かない? ここのところ忙しかったけど、今日は早く上がれそうなの」
ランチからの帰り道、多恵に笑顔を向けられた私は、返事が遅れてしまった。
だって、今日は金曜日で、課長と約束している日だから。
「あ、都合悪い?」
「えっと、うん……ごめんね?」
私の表情ですぐに察したのか、彼女は答えを聞く前に微笑んでくれた。
「気にしないで」と言われて、もう一度きちんと謝罪の言葉を紡ぐ。
「ううん、私の方こそ急に誘ってごめんね! 仕方ない、恭輔に訊いてみようかなー。恭輔より、莉緒と飲みたかったんだけど」
冗談めかしたように笑う横顔につられて、思わず小さく噴き出してしまった。
穂積課長からトークアプリでそんなメッセージが届いたのは、それから二週間ほどが経った十月末の水曜日の夜のこと。
あんな思わせ振りなことをしておいて、花の金曜日の夜のスケジュールをそんな文言だけで取りつけられると思うなんて! と心の中では可愛げのない独り言を零しながらも、手帳にちゃっかり予定を書き込むあたりが単純なのかもしれない。
「莉緒、今晩飲みに行かない? ここのところ忙しかったけど、今日は早く上がれそうなの」
ランチからの帰り道、多恵に笑顔を向けられた私は、返事が遅れてしまった。
だって、今日は金曜日で、課長と約束している日だから。
「あ、都合悪い?」
「えっと、うん……ごめんね?」
私の表情ですぐに察したのか、彼女は答えを聞く前に微笑んでくれた。
「気にしないで」と言われて、もう一度きちんと謝罪の言葉を紡ぐ。
「ううん、私の方こそ急に誘ってごめんね! 仕方ない、恭輔に訊いてみようかなー。恭輔より、莉緒と飲みたかったんだけど」
冗談めかしたように笑う横顔につられて、思わず小さく噴き出してしまった。