溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「とりあえず、千個は確保できました」

「千か……」

「今日はもう工場のラインを止めてしまったようで動かせず、土日返上で対応してくださるそうですが、来週末には別のイベントがあるのでこれが限界かと……。今回は、来週末に使うものを先にこちらに回してくださるそうです」


二宮くんも主任も、そして同僚たちも焦りや不安を滲ませていた。
私に至っては、相変わらず思考が上手く働かない。


「サンプルというのが、運が悪いな……。せめて、商品だったらどうにかできたものの、まだ市場に出ていないものを確保する方法なんて……」


主任の言葉に、絶望の淵に立った私は顔を上げることができなくなる。
どうすればいいのか、なんの打開策も浮かばない。


商品としてすでに市場に出回っているものであれば、在庫はある程度確保してあるはずだし、取扱店舗から回してもらうこともできた。
もちろん方々に迷惑は掛けてしまうけれど、どうにか賄えない数字じゃない。


だけど、今回はサンプル品。
それを企業や店舗向けのイベントで配布し、来月の発売に向けてアピールすることになっていた。

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