溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

「所長と副所長には、あとで私の方から謝罪いたします。部長にはご迷惑をおかけしないように尽力いたしますので、どうにか回していただけませんでしょうか？　お願いします！」


頭を深々と下げた穂積課長を見て、私も慌てて同じように頭を下げる。
深いお辞儀をしたって、簡単にどうにかしてもらえるとは思えないけれど、今はなにがなんでも頼みの綱を離すわけにはいかない。


「いやいや、穂積くん！　それはずるいよ！　だいたい、イベント用のサンプルなんだから、今回は多少は他で代用できるだろう……」

「おっしゃる通りです。しかし、その手段の前に精一杯できることをしたいんです。いいものを作り上げるために多くの社員が必死に頑張り、全力で準備をしています。それを知っているからこそ、最初から妥協案に甘んじたくはありません」

「しかしなぁ……」

「なにより、部下の失態は私の責任でもあります。部下とともに責任を取るためにも、ここで簡単に諦めたくはありません」


言葉を濁した松村部長に訴える課長の横顔は、とても真剣だった。