溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
鼻の奥がツンと痛み、喉が熱を持つ。
穂積課長の真っ直ぐな想いと責任感に触れ、泣いている場合じゃないとは思うのに、そんな意思に反して視界が滲んでいった。


「松村部長っ……! 私のミスでご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません……!」


それでも、泣くよりも先にしなければいけないことがあるからこそ、私は必死に言葉を紡いで再び頭を深く下げた。


「ですが、私も企画チームのみなさんの努力を台無しにしたくはありません! 私のミスなのは重々わかっています。図々しいお願いだというのも承知しております。ですが、せめて少しだけでもサンプルを回していただけませんでしょうか?」

「松村部長、私からもどうかお願いいたします」


直後、隣にいる穂積課長も、一緒に頭を下げてくれた。
視界の端に映る課長の姿に申し訳ない気持ちでいっぱいになって、唇を噛みしめながら涙をこらえ続けていた。

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