溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

会社を出るのと同時に、穂積課長に電話を掛けたけれど……。
まだ新幹線の中なのか、繋がることはなかった。


時間を置いてから何度か掛けてみても、結果は同じ。
帰宅してから一時間以上が経っても、課長が電話に出てくれることはなかった。


仕方なく、メールの画面を開いてみる。
だけど、謝罪以外の文面が上手く浮かばなくて、なにを送ればいいのかわからないままスマホをテーブルに置いた。


数え切れないため息が部屋の空気を重くして、自分自身のミスを思い返しては泣きたくなる。
穂積課長や二宮くんたちが尽力してくれなければ、今頃もっと大事になっていた。


それこそ、サンプルが五百個しかないままだったらイベントはできなかったし、その時には最悪の場合、職を失っていたかもしれない。
同僚たちは励ましてくれたけれど、私のせいで同僚や企画チームのメンバー、そして研究所や工場の人たちにまで迷惑をかけてしまった。


犯したミスを悔やんでもどうすることもできないとわかってはいるものの、悔しさと情けなさが消えることはなかった──。