溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
*****
月曜日、いつもよりも早く出社すると、すでに穂積課長も出勤していた。
結局、金曜日のうちに【今日は本当に申し訳ありませんでした】と送ったメールに返信はなく、課長に呆れられてしまったんだとしか思えなくて、声を掛けるのをためらってしまう。
「青山さん、先にカンファレンスルームに行っておいて」
「え? あ、はい……」
他の社員もいるからだとはわかっているけれど、目が合った瞬間に〝いつも通りの課長〟の口調で私に指示を出した穂積課長に少しだけ戸惑った。
それを表情に出さないようにしつつ、カンファレンスルームに向かっていると、多恵からトークアプリにメッセージが届いた。
【今日も頑張ろうね!】というひと言に、笑みが零れる。
二宮くんから事情を聞いたらしい彼女は、この土日の間ずっと心配してくれていた。
憂鬱だった土日に沈み切ってしまうこともなく、今朝の自分自身を奮い立たせることができたのは、その優しさのおかげだと思う。
お礼の言葉とともに、うさぎのキャラクターが笑っているスタンプをひとつ送ったあと、大きく深呼吸をしてからカンファレンスルームのドアをノックし、中に足を踏み入れた。