溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

「あのっ、みなさん！　この度は、本当に申し訳ありませんでした！」


ほぼ一日掛かりの梱包作業が終わったあとで頭を深々と下げれば、カンファレンスルームにいる誰かが息を吐いた。
きっと、今回のミスを誰もが煩わしく思っているに違いない。


「どうお詫びしてもご迷惑をおかけした事実は変わりませんが、本当に申し訳ありません」


そんな風に感じて、しばらくは顔を上げられずにいたけれど、不意に肩にポンと手を置かれた。


「顔を上げて」

「そうだよ、青山さん」

「ここまでリカバリーできたし、あとはこっちでなんとかするから。ね、小田さん！」


ひとりの女性社員の言葉にみんなが続き、みんなの中心に立っている小田さんは苦笑気味に頷いた。


「たしかに、今回は万全じゃなくなったけど、それでも最善にまでは持っていけたんだ。あとは、こっちの盛り上げ方次第だから任せて」

「……っ！　ありがとうございます！」


込み上げる涙をなんとか押し込めながら、もう一度頭を下げる。
油断すれば視界が滲んでしまいそうだったから、顔を上げるまでは必死に歯を食いしばっていた――。