溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「課長、終わりました」

「あぁ、ありがとう」


出来上がった資料をプリントアウトして渡しに行くと、穂積課長がパソコンから目を離し、私を見上げてにっこりと微笑んだ。


課長のこういうところがいいな、と思う。
忙しくても目を見て言葉を交わしてくれる姿勢は上司としても人としても尊敬できるし、ちゃんと見てもらえているんだと伝わってくる。


「本当に助かったよ」

「他になにかお手伝いできることはありますか?」


だから、残業が確定したって頑張ろうと思えるし、自然とそんな言葉が出てくるんだ。


「いや、もう充分だから帰っていいよ。残業させて悪かったね」

「いえ、そんな……」

「青山さんが手が空きそうだったからお願いしたけど、最後になっちゃったね」


穂積課長の言葉につられるようにして周りを軽く見てみれば、事務員の人たちの姿が見当たらないことに気づいた。
だけど、営業部にはまだ他にも人が残っているし、そもそも忙しいのは課長のせいじゃない。

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