溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
穂積課長を家の中に招き入れるのは、今夜が初めてだった。
この土日は落ち込んでいて掃除はあまりしていないけれど、課長に見られて困るようなものはなかっただろうか。


本当なら、万全の状態で穂積課長を招きたかったという気持ちもある。
だけどそれ以上に、課長が私に会いに来てくれたという事実が嬉しくて、多少の汚れくらいなら今は気にならなかった。


「狭いですけど、どうぞ……」

「お邪魔します」

「なにか摘まめるものを準備しますので、適当に寛いでいてください」

「あぁ。あ、グラスと氷はあるか? 氷、買ってくるの忘れたんだよ」

「あ、はい。すぐに用意しますね」


バッグを置いてキッチンで手を洗い、グラスと氷を用意する。
あいにく冷蔵庫の中は物寂しく、すぐに出せるようなものはなかった。


「あの、課長……」


自身の女子力の低さに情けなさを抱きながら、氷を入れたふたつのグラスをトレイに載せて振り返った。

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