溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「今回は、本当に申し訳ありませんでした……」


頭を深々と下げたあとに顔を上げれば、穂積課長の双眸が私を見据えていた。
本心ではずっと涙をこらえている私には、課長の視線が痛かった。


「課長が動いてくださらなかったら、きっと研究所にも名古屋支社にも手を貸していただけることはなかったと思います」


穂積課長の表情からは怒っているような雰囲気は感じられないけれど、感情までは読み取れないから、なんだか少しだけ怖い。
こうして会いに来てくれたとはいえ、課長は本当はもう呆れてしまっているんじゃないか……と思わずにはいられなくて、心は不安に揺れていた。


「万全の準備ができないままだったのは、今も申し訳なく思っていますが……ここまでリカバリーできたのは、課長が私のミスをカバーしてくださったおかげです。言葉だけのお礼なんかでは伝え切れませんが、本当にありがとうございました」


だから、できる限り一気に話して再び頭を下げることで、そんな気持ちを必死に隠した。

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