溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

優しくしてもらえることが、とても嬉しい。
だけど、こんな風に甘やかされてしまったら、いつからか色づき始めていた想いを誤魔化せない。


「どうして……」

「ん？」

「どうして、優しくするの……」


息を吸ってから吐いた涙声は、聞き取りにくいくらいに掠れていた。
直後、穂積課長がフッと笑ったのがわかった。


呆れているのか、楽しんでいるのか、その心中を察することはできない。
程なくして、課長はそんな私の髪を耳にかけた。


「会社では上司と部下でも、今はただの恋人だからだよ」


甘く優しく囁かれて、胸の奥が高鳴る。
期待と同じくらいの不安はあるのに、もう黙っておくことなんてできないと思った。


「優しくされたら、本気にしますよ……」


ゆっくりと顔を上げて、力強い双眸を見つめながらそっと告げる。
精一杯の強がりを纏ったつもりだったのに、声は情けないくらいに震えていた。