溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「本当にお手伝いできることはありませんか？」


そんなことを考えながらも、仕事モードのままの頭は穂積課長のデスクに積まれている資料が気になってしまう。


「仕事はまた明日頼むから、今日は帰りなさい」


だけど──。

「課長命令だよ」

課長は私のことを帰らせてくれようとしているらしく、笑顔で一蹴した。


「……わかりました。では、お先に失礼します」

「お疲れさま」


穂積課長は頭を下げた私に頷いたあと、またパソコンに視線を戻した。
いつもニコニコしている課長の顔は真剣で、その真っ直ぐな表情をもう少しだけ見ていたいような気がしたけれど、デスクに戻って帰り支度を済ませる。


「お疲れー」

「お疲れさま。二宮くんはまだ残るんだよね？　頑張ってね」


わざわざ手を止めて声を掛けてくれた二宮くんは、人懐っこい笑顔を見せてから再び資料に視線を落とした。
彼も真剣な顔つきをしていて、眉間には少しシワが寄っている。


残っている数人はみんな同じような顔つきをしていて、邪魔にならない程度に挨拶を交わしながらエレベーターに向かった。

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