溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「えっと……穂積課長、です……」

「え……」

「えぇっ⁉ 嘘……! 穂積課長って、あの穂積課長のことだよね⁉」


おずおずと観念した私に、二宮くんは目を丸くして固まり、多恵はらしくないくらいの動揺を見せた。
ふたりの反応は相反するものだけれど、とにかく驚いていることだけは間違いない。


「うん。多恵が想像してる人で合ってると思う」

「ちょっと待って……。えっと、まさか直属の上司だとは……」

「その、なりゆきっていうか……いろいろあったんだけど、とにかくお付き合いすることになって……」

「お付き合い⁉ えっ、デートするだけじゃなくて、もう付き合ってるの⁉」


彼女は、驚きと困惑を処理し切れないようで、いつもの冷静さはない。
常に落ち着いていて仕事ができる秘書の姿からは、想像できないくらいの動揺が見えた。


「ちょっと、想像以上でびっくりした……。でも、まぁ……うん、おめでとう、莉緒」


だけど、それも束の間のことで、多恵がにっこりと笑う。
彼女の表情には、平静が戻っていた。



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