溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「そういえば、二宮くん遅いね」

「ダウンしてるんじゃない?」

「え? 二宮くん、そんなに飲んでたっけ?」

「莉緒がトイレに行ったあと、一気に二杯飲んでたから」


戻ってこない二宮くんのことを気にすると、多恵が「まぁ気にしなくても大丈夫でしょ」と笑った。
ただ、彼はそれなりに飲める方だったと思うから、私がいない間に飲んだ二杯分がプラスされたくらいで酔ったとは考えにくい。


「でも、二宮くんって結構強くなかった?」

「週末だから疲れてるんじゃない? 寝不足だと回りやすいし」


彼女は「放っておいても大丈夫よ」と言い、通りがかった店員さんに「ハイボールとレモンサワー追加で」と頼んでいたけれど、私は二宮くんのことが気がかりだった。
そういえば、彼はさっき、珍しくぼんやりしていたような気がする。


「ちょっと見てこようかな」

「すぐに戻ってくるだろうし、ガールズトークでもしようよ」


席を立とうとした私を、多恵が笑顔で引き止める。
「じゃあ、もう少ししても戻ってこなかったら見てくるよ」と返せば、彼女は苦笑を漏らしながらも頷いた。


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