溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

そのあとすぐに戻ってきた二宮くんは、多恵が言った通り疲れているようだった。
笑ってはいるけれど元気がないのは明白で、彼が見せているのはいつもの笑顔じゃない。


「そろそろ解散にする？　明日は休みだけど、みんな結構疲れてるだろうし」


そんな二宮くんを気遣うような彼女の提案で、少し早いけれど解散することになった。
私は伝票を手にし、「ここはご馳走させてね」と笑う。


「え、莉緒ちゃん、いいよ。いつも通り、割り勘にしよう」

「ううん。今日は、ふたりにこの間のお礼がしたかったから、払わせてほしいの。それに、いつもはなんだかんだ言っても二宮くんがたくさん出してくれるから、たまにはいいでしょ？」

「いや、でも……」

「二宮、ここは莉緒に甘えようよ。今度は私たちが奢ればいいじゃない」


ためらう彼に、多恵がすかさずフォローを入れてくれた。
ただ、そうなると私がご馳走する意味がなくなってしまうような気がしたけれど、とりあえず今は彼女に同調するように笑った。