溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「どこに行くんですか?」
「俺に連れ去られてもらおうか、って言っただろ?」
「え? じゃあ、もしかして……」
「今夜はうちに泊まってもらうことにした」
「えぇっ……⁉ で、でも……」
思わず声を上げてしまい、咄嗟に口を閉じた。
前に視線を遣れば、運転手になんとなく様子を窺われているような気がして、声を潜める。
「急に、そんな……」
「仕方ないだろ? 俺も今夜は顔を見るだけで帰るつもりだったけど、莉緒の顔を見たら気が変わったんだから」
あっけらかんと言い放たれて、どう返せばいいのかわからなかった。
女子として唐突なお泊まりは困る、と抗議したいところだけれど……。約束していなかったとはいえ、穂積課長を寒空の下で長時間待たせてしまったという引け目から、意見を言うのは憚られた。
一方、課長は相変わらず怒っている素振りはなく、むしろタクシーに乗った頃からは上機嫌に見えた。
そして、それはきっと、私の気のせいじゃない。
「俺に連れ去られてもらおうか、って言っただろ?」
「え? じゃあ、もしかして……」
「今夜はうちに泊まってもらうことにした」
「えぇっ……⁉ で、でも……」
思わず声を上げてしまい、咄嗟に口を閉じた。
前に視線を遣れば、運転手になんとなく様子を窺われているような気がして、声を潜める。
「急に、そんな……」
「仕方ないだろ? 俺も今夜は顔を見るだけで帰るつもりだったけど、莉緒の顔を見たら気が変わったんだから」
あっけらかんと言い放たれて、どう返せばいいのかわからなかった。
女子として唐突なお泊まりは困る、と抗議したいところだけれど……。約束していなかったとはいえ、穂積課長を寒空の下で長時間待たせてしまったという引け目から、意見を言うのは憚られた。
一方、課長は相変わらず怒っている素振りはなく、むしろタクシーに乗った頃からは上機嫌に見えた。
そして、それはきっと、私の気のせいじゃない。