溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

「で、でも……できれば、こういうことは前以って言っておいてもらいたいっていうか……」


しどろもどろ話した私に、穂積課長が目を眇める。
うっ……と出そうだった声を留めれば、課長はわざとらしく首を傾けたかと思うと、私の耳元に唇を寄せた。


「今夜はよく冷えるから、莉緒に温めてもらおうかと思って」

「……っ！」


低い声で紡がれたのは、意味深な言葉。
思わず肩を強張らせてしまえば、穂積課長がクスクスと笑った。


「莉緒はわかりやすいな」

「別に、変な想像とかしてませんから！」

「変な想像って？」

「そ、それはっ……！」


艶麗な笑みを湛える課長は、この状況を楽しんでいるのが明白だった。
反して、私はなんとか言葉の応報をこなしながらも、緊張感がどんどん押し寄せてくる。


「どんな風に温めてくれるのか、楽しみにしてるよ」


極めつけに甘やかな声音で囁かれ、心臓が大きく跳ね上がる。
色香を纏った表情にドキドキして、本気で腰が砕けてしまうかと思った。