溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
数十分ほどして、タクシーがマンションの前で停まった。
クリーム色の外壁もエントランスもとても綺麗で、手入れが行き届いているというのはもちろん、マンション自体がまだ新しいのが見て取れる。


都内の主要駅から利便性が高い土地であるこの辺りは、きっと家賃だって安くはないはず。
大手企業の社員とはいえ、普通のサラリーマンが住んでいるには贅沢な住居に思えた。


「さすが課長です……」

「え？」

「うちとは全然違う、っていうか……」


営業だと給料には成績が大きく反映されるし、穂積課長ならこういうところに住んでいてもおかしくはない。
そう思う反面、自分の生活環境とは遠く感じて、なんとなく落ち着かなかった。


「別にたいしたことはない。うちの給料ならこれくらいのところに住めるし、俺は投資や資産運用もしてるから。といっても、勉強を兼ねてしてるだけだし、家賃だって莉緒が想像してるほどでもないと思うよ」


課長は苦笑を零したけれど、天井の高いロビーを通り抜けてピカピカに磨かれた高速エレベーターに乗れば、あまり納得できなかった。


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