溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

ゆとりのある廊下を進み、リビングに案内される。
そこは、モノトーンカラーで纏められた家具に囲まれた一室で、落ち着いた雰囲気が穂積課長らしさを醸し出しているようだった。


「すごく広いですね」

「リビングはゆったり過ごせる方がよかったから、ここの広さは結構重視したんだ」

「じゃあ、普段はリビングで過ごされることが多いんですか？」

「まぁそうかな。寝室は寝るだけだし、書斎は基本的には仕事をする時しか使わない。オンオフはきっちり分けたいから、リビングは完全にリラックススペースにしてるしね」


課長は間取りが２LDKであることを教えてくれると、私が脱いだコートをスッと取ってダイニングテーブルの椅子に掛け、ソファーに促してくれた。
三人掛けのソファーは黒い布地の質感が柔らかく、座ると適度に体が沈んだ。


対面式のキッチンから「紅茶でいいか？」と訊かれて、穂積課長を見ながら小さく頷く。
程なくして、ふたり分のマグカップを手にした課長がソファーに腰掛け、黒いシンプルなマグカップを手渡された。