溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
今日は多恵に週末の誘いを断られたこともあって寂しくなってしまいそうだったから、余計なことを考える前にバスルームに行った。
帰宅が遅くなると夏場はシャワーで済ませることが多いけれど、そろそろ湯船に浸かりたいし、明日は入浴剤を買って帰ろう。


ついでに、トリートメントも買わなきゃ。あとは、洗剤と柔軟剤もなくなりそうだったよね?


誰に確認するわけでもないことを心の中で呟き、トリートメントを洗い流しながら脳内にメモをする。

日用品を買い忘れると不便な思いをすると痛感したのは、ひとり暮らしを始めてすぐの頃だった。
実家では母に甘えてばかりで、洗剤やシャンプーがどの程度の頻度で必要になるのかすらわからなくて、最初はよく切らしていた。


「あっ、なくなった」


今ではそんなことは滅多にないけれど、トリートメントの容器からマヌケな音が鳴ったのを聞いてため息が漏れた。
同時に、高校生の時にお気に入りだったシャンプーが一度も切れることがなかったのは当たり前じゃないんだ、と親元を離れて初めて思い知ったことを、改めて思い出した。

< 24 / 380 >

この作品をシェア

pagetop