溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「……っ、あの……どうやって温めればいいですか？」


小さな声で尋ねれば、穂積課長がフッと眉を寄せた。
困り顔をされたのはわかるのに、その理由はわからない。


わずかな困惑を感じていると、課長はなんだか複雑そうな顔のまま「そうきたか」と零した。
困ったようにも呆れたようにも見える表情に、程なくして微笑みが加わる。


「やり方は莉緒に任せるよ」


そう言われて、さらに困惑してしまった。
思わず視線が泳いで、穂積課長から目を逸らした。


ここで、お風呂に入ってください！　なんて言うのは絶対に違う。
だからと言って、いつもの課長のように、自然に抱きしめるような芸当はできない。


せめて具体的に指示された方がよかった、と思う。
たとえ恥ずかしくても、きっとそうしてもらえた方が行動に移すことはできたはず。


ただ、穂積課長にその気がないのはわかっている。
ひとりで悩んでいた私は、小さな深呼吸をして意を決し、必死に緊張を隠して課長を見つめた。

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