溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「顔、隠すなよ」
「だって……」
たしなめるような言い方なのに、声はとても柔らかい。
背中に回されていた節くれだった左手が髪に触れ、大切なものを扱うような手つきでさらりと撫でた。
ただ髪を触られているだけなのに、また心臓が暴れ出す。
胸が苦しくなるほどの拍動に、体中の血液が熱を帯びていく。
「このままだとキスできないだろ?」
私は恥ずかしくてたまらないのに、穂積課長はすっかりいつものペースに戻っている。
髪を撫でる手からも、話す口調からも、余裕が見えた。
「早く顔を上げて」
低く、甘い囁き。
耳殻をくすぐるように唇を寄せられたせいで、吐息が肌に当たった。
「ほら、莉緒?」
心臓が、今にも飛び出してしまいそう。
そんな風に考えるくらい、私の心音はうるさかった。
だけど、さっきみたいな課長をもう少しだけ見ていたかったな、と思う反面、こうして主導権を握られることが嫌じゃないと気づいてしまう。
ゆっくりと顔を上げれば、どこか意地悪さを孕んだ表情が視界を占めた。
「だって……」
たしなめるような言い方なのに、声はとても柔らかい。
背中に回されていた節くれだった左手が髪に触れ、大切なものを扱うような手つきでさらりと撫でた。
ただ髪を触られているだけなのに、また心臓が暴れ出す。
胸が苦しくなるほどの拍動に、体中の血液が熱を帯びていく。
「このままだとキスできないだろ?」
私は恥ずかしくてたまらないのに、穂積課長はすっかりいつものペースに戻っている。
髪を撫でる手からも、話す口調からも、余裕が見えた。
「早く顔を上げて」
低く、甘い囁き。
耳殻をくすぐるように唇を寄せられたせいで、吐息が肌に当たった。
「ほら、莉緒?」
心臓が、今にも飛び出してしまいそう。
そんな風に考えるくらい、私の心音はうるさかった。
だけど、さっきみたいな課長をもう少しだけ見ていたかったな、と思う反面、こうして主導権を握られることが嫌じゃないと気づいてしまう。
ゆっくりと顔を上げれば、どこか意地悪さを孕んだ表情が視界を占めた。