溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
私がベーコンを切っていると、穂積課長がフライパンにバターを落とした。
瞬く間にバターが溶けていき、お腹を刺激する香りが広がっていく。


ベーコンを炒め始めた課長に指示をもらい、トマトを小さくカットしてフライパンに加える。
それから、言われた通りにボウルに割り入れた卵を溶き解し、牛乳を注いで混ぜた。


穂積課長は、フライパンの中の具材をお皿に取り出し、再びバターを溶かして卵を入れる。
手際よく卵液を伸ばして菜箸をグルグル回すと、卵がふわふわになっていった。


そこにさっき炒めておいた具材とチーズを乗せてブラックペッパーを振りかけ、持ち上げたフライパンの上で卵をくるりとひっくり返す。
お皿に滑らせてケチャップをかけると、あっという間にオムレツが完成した。


「課長、料理がお上手なんですね」

「ただのオムレツだろ」

「朝からこんなオムレツを作る人は、絶対に料理上手です」


平日の朝はトーストかシリアル、休日に至っては適当なブランチで済ませることが多いなんて、間違っても言えそうにない。
ふたつ目のオムレツを作り始めた課長の横顔を見つめながら、料理の腕を磨こうと密かに決めた。

< 261 / 380 >

この作品をシェア

pagetop