溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「課長、こんばんは。お迎え、ありがとうございます」

「別に構わない。それより莉緒、いつから待ってた?」

「さっき家を出たところです」


アパートのすぐ近くに停まった車から降りてきた穂積課長が、私の答えを聞くなりため息混じりに眉を寄せた。
右手からキャリーケースを抜き取られ、「早く乗れ」と助手席のドアを開かれる。


なにかしでかしてしまったのかと不安になりながらも車に乗ると、課長はトランクにキャリーケースを入れてから運転席に座った。
直後、呆れたような顔が向けられた。


「さっき家を出たばかりの奴の鼻が、そんなに赤いわけがないだろ」

「……赤いですか?」

「どっかの歌のトナカイといい勝負ができそうなくらいにな」

「えぇっ!」


せっかくメイク直しを念入りにして、買ったばかりのワンピースとお気に入りのコートでコーディネートしたというのに、穂積課長の目は私の鼻しか見ていないようだ。
慌ててファンデーションのコンパクトで確認すると、確かに鼻先が真っ赤になっていた。

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