溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】

寂しさと不安に包まれてしまった私を余所に、穂積課長がクスッと笑った。
私はこんな気持ちでいるのに、課長はやっぱり余裕なんだと思うと虚しくなってしまいそうだった。


「甘え方がわかってきたな」


だけど、穂積課長の声にはからかうような様子はなく、直後には私の肩をそっと抱き寄せてこめかみにチュッとくちづけてきた。
甘やかすためのキスに、重かったはずの心がほんの少しだけ軽くなる。


「最初はなかなか素直になってくれなかったし、莉緒を口説くのに苦労したけど、この五日間で随分と甘え上手になった。莉緒の家族には悪いが、帰省させなくて正解だったよ」


すべて目論見通りだったとばかりに微笑する課長は、満足そうに私を見ている。
一瞬きょとんとしてしまった私は、「どういうことですか？」と小首を傾げた。


「松井田病院の件や新規の案件もあって、俺は明日からしばらく忙しくなると思う。落ち着くまでは平日の夜には会えないだろうし、週末だってゆっくり会う時間が取れないかもしれない。もちろん、会社では今まで通り上司と部下として接するつもりだ」

「そう、ですよね……」