溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
私が思っているよりもさらに厳しい状況になりそうで、ますます肩を落としてしまう。


頭では仕方ないとわかっているし、ちゃんと会社ではこれまでと同じようにしなければいけないと理解しているのに……。
この幸せだった数日間とのギャップに、心は寂しさと不安に負けていくような気がした。


「だからこそ、この年末年始の間に莉緒が〝離れていても大丈夫だ〟と思えるくらいの濃密な時間を過ごしたかった」

「え?」

「忙しくなるのは避けられないし、会う時間が減るのもどうすることもできない。だからせめて、莉緒に寂しい思いをさせてしまった時に、素直に『寂しい』と言わせてあげられる環境を作っておきたかったんだ」

「智明さん……」


年末年始の五日間の予定が決まった時から、私はずっと心が浮き立っていただけだった。
それなのに、穂積課長はただ一緒に過ごすだけじゃなくて、課長と会えない時の私の気持ちまで見越して考えてくれていたなんて……。

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