溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「莉緒の場合は遠慮しすぎな気もするけど、同じ部署にいたら余計に気を遣っちゃうよね。相手の仕事量とか、全部見えてるわけだし……」


私の気持ちを代弁した多恵は、「でもたまにはわがまま言っていいと思うよ」と微笑んだ。
その言葉に、曖昧な笑みを零す。


「無理してほしくないから、そういうのは会えたときでいいかな」

「欲がないんだから」


彼女はそんな風に言ってくれたけれど、別にそうじゃない。
私はただ、穂積課長の負担になりたくないだけで、それだって本当は課長を思いやっているから……というだけの理由じゃない。


これまで振られてばかりいた私は、穂積課長の負担になってしまうことで、課長から愛想を尽かされるんじゃないかと考えるようになっていた。
付き合い始めたときや幸せだった年末年始にはそんな風に思わなかったのに、会えない時間が増えたことで不安が増しているせいかもしれない。


もちろん、穂積課長の気持ちや言葉は信じている。
それでも、プライベートではろくに課長と会えていないことが、私の心に影を落としていた。

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