溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
何度目かのため息をつきながら、資料室のドアを開ける。
中に入ってそっとドアを閉めた時、室内のどこからか話し声が聞こえてきた。
「……仕方ないじゃない。あなた、こうでもしないと話すチャンスすらくれないんだもの」
「仕事の話なら、いつでも聞くよ」
「仕事の話じゃないから、わざわざあなたの後を追ったのよ。わかってるくせに、ひどいわね」
食い下がっているのは女性の声で、それよりも低く不機嫌そうな声音は女性のことをあまり相手にしていないようだった。
聞き耳を立てるつもりはないけれど、つい立ち尽くしてしまう。
「何度も連絡したのに、あなたが出てくれたのは最初の一度だけ。私の話をちゃんと聞いてくれたのもそのときだけで、あとはずっと無視するんだもの」
女性は、男性の態度に怯む素振りはなく、「だから、ここに入るあなたを見つけて捕まえるしかなかったの」と静かに話している。
私は息を潜めたまま、ドアの傍から動けなかった。
中に入ってそっとドアを閉めた時、室内のどこからか話し声が聞こえてきた。
「……仕方ないじゃない。あなた、こうでもしないと話すチャンスすらくれないんだもの」
「仕事の話なら、いつでも聞くよ」
「仕事の話じゃないから、わざわざあなたの後を追ったのよ。わかってるくせに、ひどいわね」
食い下がっているのは女性の声で、それよりも低く不機嫌そうな声音は女性のことをあまり相手にしていないようだった。
聞き耳を立てるつもりはないけれど、つい立ち尽くしてしまう。
「何度も連絡したのに、あなたが出てくれたのは最初の一度だけ。私の話をちゃんと聞いてくれたのもそのときだけで、あとはずっと無視するんだもの」
女性は、男性の態度に怯む素振りはなく、「だから、ここに入るあなたを見つけて捕まえるしかなかったの」と静かに話している。
私は息を潜めたまま、ドアの傍から動けなかった。