溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「お互いに時間がないと思うから、手短に言うわ。私は、あなたとやり直したいの」

「その話なら断っただろ」

「諦められないから、こうしてわざわざもう一度伝えてるんじゃない。三年って、思ったよりも心に残っちゃうものね……。私、あなたと付き合ってた三年間が忘れられないのよ」


どうしよう……。これって、痴話喧嘩……だよね? まさか不倫の現場に遭遇しちゃった、とか……。


数日前に多恵と行ったカフェでの会話が、ふと蘇ってくる。
彼女の言う通り、確かにこんな話題は聞きたくないと思った。


「別れたいって言ったのはそっちだし、あれからもう何年も経ってる。俺は恋人がいるし、やり直す気なんてない」

「それでも、私はあなたが忘れられなかった……。一度は他の人と付き合おうって決めて別れたけど、やっぱりあなたがいいって気づいたの。あなたの恋人がどんな人かは知らないけど、ちゃんとこれからのあなたを支えてくれるの? 私は、あなたを支えられる自信だってある」


一刻も早く用事を済ませて、ここから立ち去りたいのに……。ふたりの押し問答は、まだ終わりそうにない。

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