溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
背にしていたドアに体が当たり、ドンッと音が響く。
刹那、室内が静まり返ったかと思うと、ふたり分の足音が近づいてきた。
「……莉緒⁉」
最初に姿を現したのは、穂積課長だった。
続けて、グレージュのスーツを纏った女性がやってきた。
その人は、秘書課で主任を務める田原さんで、話したことはないけれど見かけたことはあるし、優秀だというのも何度も耳にしたことがある。
意志の強そうな二重瞼の瞳に、スッと通った鼻梁。上品に染められたダークブラウンの髪は、肩につかない長さで美しく整えられている。
いつも隙がないほどに綺麗で凛としている彼女は、『秘書課でも一目置かれている』と言われていて、社内でよく目立っていた。
多恵が入社した頃から尊敬している人として名前を挙げたことがあるくらい、田原さんに憧れている女性社員も少なくはない。
男性からは頻繁に告白をされていることも、とても有名な話だ。
「どうした? 立てるか?」
目の前に課長の手を差し出され、ハッとする。
困惑する私の思考は真っ白になりそうだったけれど、なんとか必死に平静を纏って自力で立ち上がった。
刹那、室内が静まり返ったかと思うと、ふたり分の足音が近づいてきた。
「……莉緒⁉」
最初に姿を現したのは、穂積課長だった。
続けて、グレージュのスーツを纏った女性がやってきた。
その人は、秘書課で主任を務める田原さんで、話したことはないけれど見かけたことはあるし、優秀だというのも何度も耳にしたことがある。
意志の強そうな二重瞼の瞳に、スッと通った鼻梁。上品に染められたダークブラウンの髪は、肩につかない長さで美しく整えられている。
いつも隙がないほどに綺麗で凛としている彼女は、『秘書課でも一目置かれている』と言われていて、社内でよく目立っていた。
多恵が入社した頃から尊敬している人として名前を挙げたことがあるくらい、田原さんに憧れている女性社員も少なくはない。
男性からは頻繁に告白をされていることも、とても有名な話だ。
「どうした? 立てるか?」
目の前に課長の手を差し出され、ハッとする。
困惑する私の思考は真っ白になりそうだったけれど、なんとか必死に平静を纏って自力で立ち上がった。