溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
不意に、インターホンが鳴った。
ルームウェア姿でベッドの中にいた私は、悩むことなく居留守を決め込もうと布団に潜り直す。


直後、木曜日の夜に、母から『色々送っておいたから』と電話があったことを思い出した。
その荷物が届いたのだろうと察し、重い体をノロノロと起こす。


本当は、こんなボロボロの姿で誰にも会いたくない。
だけど、身勝手な理由で再配達をしてもらうことになるのはあまりにも申し訳ないし、この近辺を担当しているドライバーは父親よりも上の世代の初老の男性だ。


まぁいっか……と思うまで、そうたいした時間はかからなかった。
あの優しそうな担当ドライバーによれよれの姿を見せたところで、せいぜい寝起きだと思われる程度だろう。


「はーい……」


ため息混じりにやる気のない声を出しながら、ゆっくりとドアを開ける。
そのさなかに顔を上げた瞬間、私は中途半端に開いたドアに手をかけたまま瞠目した。

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