溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「莉緒!」
私の名前を呼ぶよりも早く、穂積課長が部屋にその身を滑り込ませてきた。
中に押し込まれるような形になった私の体は、抵抗する暇もなく課長の腕に包まれてしまった。
「……っ! か、課長……っ!」
押し返そうとした手に、上手く力が入らない。
なにも知らないまま抱きしめられたくないのに、好きな人の温もりが嬉しい。
喉の奥が急激に熱を持ち、胸が詰まる。
視界は滲んで涙が零れ、あっという間に顔を濡らした。
放して、という言葉は声にならない。
それどころか、一層きつく抱きしめてくる腕が愛おしくて、自らも身を預けるようにして硬い胸元に額を寄せてしまった。
「不安にさせてごめん」
苦しげに聞こえた声が、私の小さな嗚咽に混じる。
どうしてか、穂積課長の方が傷ついているように感じて、私は考えるよりも先に課長の背中に腕を回していた。
「金曜も土曜もいなかったから、心配した……。ちゃんと全部話すから、聞いてほしい」
「……っ、はい……」
さっきまで振られるかもしれないと考えて、怖くてたまらなかった。
だけど今は、なぜか大丈夫だと思えた。
私の名前を呼ぶよりも早く、穂積課長が部屋にその身を滑り込ませてきた。
中に押し込まれるような形になった私の体は、抵抗する暇もなく課長の腕に包まれてしまった。
「……っ! か、課長……っ!」
押し返そうとした手に、上手く力が入らない。
なにも知らないまま抱きしめられたくないのに、好きな人の温もりが嬉しい。
喉の奥が急激に熱を持ち、胸が詰まる。
視界は滲んで涙が零れ、あっという間に顔を濡らした。
放して、という言葉は声にならない。
それどころか、一層きつく抱きしめてくる腕が愛おしくて、自らも身を預けるようにして硬い胸元に額を寄せてしまった。
「不安にさせてごめん」
苦しげに聞こえた声が、私の小さな嗚咽に混じる。
どうしてか、穂積課長の方が傷ついているように感じて、私は考えるよりも先に課長の背中に腕を回していた。
「金曜も土曜もいなかったから、心配した……。ちゃんと全部話すから、聞いてほしい」
「……っ、はい……」
さっきまで振られるかもしれないと考えて、怖くてたまらなかった。
だけど今は、なぜか大丈夫だと思えた。