溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「田原とは、大学時代から三年ほど付き合ったが、就職後にすれ違って別れたんだ。お互い、当時は仕事優先になってたし、俺は今はなにも後悔もしてない」


穂積課長は、きっと当時は後悔したんだろう。
だけど、今の課長の表情からはそんな素振りはなく、本当に未練もなさそうだった。


「それに、田原は数ヶ月前に大学時代の友人との結婚が決まってたんだ。なぜか今年になって田原の方から破談にしたらしいけど、俺はもう田原とは個人的に連絡を取ることはなかったし、結婚についてもたまたま共通の友人から聞いたんだ。だから、まさかやり直したいと言われるとは思わなかった」


ため息をついた課長の横顔は、とても複雑そうだった。
資料室で聞いたふたりの会話には温度差があったし、話を聞いているとこんな顔をするのも頷ける。


ただ、それらはすべて私の質問に対する答えからは遠く、疑問はまだ解消されていない。
もちろん、田原さんと比べると自信が持てない私は、また不安を感じてしまいそうだった。

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