溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「とはいえ、俺はずっと普通の家庭で育ってきたし、自分にその資質があるとは思ってない。それに、今はまだオフレコだからなにもないが、この話が社長から社内の人間に伝われば間違いなく反対意見が出ると思う」


少しの間和らいでいた表情は、すぐに厳しいものへと変わった。
きっと、穂積課長はお父様と再会してから、色々なことを話したんだろう。


「そもそも、社長に子どもがいることは、ごく一部の人間しか知らない。それが俺だと知ってる人はもっと少ないし、知ってるからと言って好意的なわけじゃない。ちなみに、田原は副社長付きの秘書ということで、最近になって聞かされたそうだ」


そういえば、様々な情報が飛び交う秘書課にいる多恵ですら、社長に子どもがいることは知らなかった。
ということは、これこそトップシークレットだろう。


「父には継いでほしいと言われたのと同時に、『確実に継がせるというわけじゃない』とも言われてる。つまり、これからの俺次第ってことなんだ」


課長は、「きっと厳しいことばかりだと思う」と呟いた。
私は、あまりに大きなことにどういえばいいのかわからなくて、ただ黙っていた。

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