溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
『本当に溺愛してくれるんですか? あとでやっぱり嫌って言ったりしませんか? 私、課長に振られたら立ち直れないですよ……。だって、課長のこと、ずっと素敵だなって思ってたんですから……!』


酔い潰れた莉緒は、送っていくタクシーの車内で俺に向かって舌足らずに訴えかけながら、泣きそうな顔をしていた。
無防備で可愛い姿を見せられて理性が揺らいだ俺に反し、彼女は翌日にはそのことはまったく覚えていなかった。


ずるい、と思った。
勝手に煽られたような気持ちになって強引に唇を奪ったくせに、そのあとでいつもと違う甘えん坊な莉緒を見て本気で恋に堕ちた――とは言えるわけもないが……。
すっかり翻弄されていた俺からの告白を、彼女は拒絶したのだから。


だが、一度堕ちてしまった恋に、俺の心は捕らわれた。
莉緒が戸惑えば戸惑うほど、手に入れたくて仕方がなくなった。


それまでは、誰かにこんなにも執着したことなんてなかったのに……。彼女だけは自分のものにしたくて、上司と部下という関係性を無視して必死に口説き、どうにかその心を掴んだ。

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