溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
元康に莉緒と付き合い始めたことを報告したとき、『お前はもともと青山さんのことは気に入ってただろ』と言われたが、俺自身にはまったくその自覚はなかった。
目をかけていたつもりではあるが、それはあくまで上司として……という目線のつもりだったからだ。


なんでも元康いわく、『お前が名前を出した社内の女子は青山さんだけで、普段の話を聞くだけで可愛がってるのがわかりやすかったから』らしい。
よくよく思い返してみれば、確かに彼女のことは何度か会話の中に出したことがあった。


今にして思えば、部下として可愛がっていた莉緒のことは、ここで鉢合わせる前からずっと恋愛対象として見ていたのかもしれない。
そうでもなければ、いくらあんな状況になったとはいえ、わざわざ自ら強引に彼女に交際を迫ったりキスをしたりすることはなかったはずだ。


いつもの俺なら、リスクを感じてあんな雰囲気には持っていかなかったに違いないし、口説くにしてももう少し冷静に事を運ぼうとしただろう。
そもそも、会社ではわざわざ人当たりのいい癒し系の人間を演じていたのだから――。

< 342 / 380 >

この作品をシェア

pagetop