溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「それくらいで忙しいと言ってどうする。早ければ来年には専務の座を用意するつもりだし、そうなれば今の比ではないぞ。もちろん、しがらみだってある」

「わかってます。覚悟がなければ、会社を継ぐつもりで生きようとは思いません」

「まぁいい。すべてはお前次第だ。それより、重役になる前に身を固めればどうだ。縁談なら、すぐにいくつか用意できるぞ」

「……お断りします、と前にもお答えしたはずですが」

「私はお前のために言ってるんだ。特殊な環境下で昇進し、しがらみの中で生きることになるからこそ、公私ともに申し分なく支えてくれるパートナーは必要だろう」

「私にはすでに支えてくれる大切な人がいます。そういう結婚を強制されるのであれば、会社を継ぐ気はありません」


縁談の話を持ってこられたのは、初めてではない。
一切応じる気がない俺の意思をわかっているはずの春日野社長は、それでも懲りることなく会うたびにこの話題に触れてくるのだ。

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