溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「だとしても、一度会ってみるだけでも――」

「結婚にまで口を出さない約束です。それでも、まだこの話を続けるのであれば、母さんとの再婚は認めません」

「……っ、それは……」


きっぱりと言ってのければ、春日野社長が言葉に詰まった。
ついでに、「あぁ、社長は再々々婚でしたね」と嫌味も付け足してやる。


あろうことか、目の前にいる最低な男は、つい数日前に母に二度目のプロポーズをしたらしい。
母の返事は、『智明が許可するならいいわよ』だったらしく、恐らく今夜呼び出されたのはこの件についてだろう。


母にひどい仕打ちをしておいて、厚かましくプロポーズをしたこの男には呆れたが……。それを笑って俺に話した上で、『返事はあなたに任せるわ』と言った母のことはまったく理解できない。


それでも、こんな男と復縁しても幸せになれるはずがないと心配する俺を余所に、『でも私が本気で愛したのはあなたの父親だけだもの』と語った母を見ると、あまりにも不本意ではあるが反対することはできないと思った。
本当に複雑で、とてつもなく不満はあるが……。

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